エーテルじゃないけれどエーテルって名前なんだ
こんにちは。気がつけば手がカサカサなy-yです。
今「石油エーテル」という溶剤を使っているのですが、非常に怖いです。
成分的には有機物の混合体でありまして、ガソリンに近いものです。
僕、大学時は化学屋ではありませんでしたので、有機系の物質は疎いです。高校時代に知識として習った程度。
そんな人間が急に有機溶剤を扱うことになったのだから、そりゃ当然へまもします。無知は怖い、ということを思い知らされました。
石油エーテルの何が一番怖いかって、それは揮発性が大きいことです。
絶えず蒸発しているのです。
まず試薬ビンを開けると、炭酸系の飲み物を振ったときのように「ぷしゅっ」ときます。
「おお、そんなに外の世界にでたいのかい? ほうら」
とばかりに調子に乗っているとしっぺ返しをくらいました。
僕はなにげなくピペットで溶剤を吸い上げました。そして別の容器に入れようとしたとき、
びゅっ!
と水鉄砲のごとく飛び出しました。
どうやらピペット内部で蒸発したガスが圧縮され、大気圧に打ち勝ったようです。
ちっ、ペットボトルロケットじゃないんだぞ……。
思わぬ事態にあせった僕は、すぐさま床を拭こうとしました。
しかし、
どこも濡れていないのです。
はて? 飛び出したように見えたのは僕の脳で勝手に作られたイメージだったのかしら?
まあいいや、と思った僕はのんきに作業を続けました。
ある工程で、石油エーテルをメスシリンダーにうつさなくてはなりませんでした。
いちおうロウトは使っていたのですが、不覚にも自分の手にこぼしてしまいました。
「うおお、手についたらまずいような気がする!」
と漠然な不安を抱えていた僕はあわててぬぐおうとしました。
しかし、
手は濡れていませんでした。
冷たいという感覚だけを残して、溶剤は影も形もうせていたのです。
そこで気づいたのです。
こいつはとんでもない早さで乾いているのだ! ひゅー!
ということに。あ、気づくのが遅いですね。そうですね。
そのうえ液体が蒸発するときには気化熱といって、周りの熱を奪います。なので、この石油エーテルをフラスコやビーカー等に入れていると、えらく冷たくなってどぎまぎします。
あと、有機溶剤は脱脂、脱水作用があるものが多いです。冒頭で述べた手荒れはそれによるものです。嫌な言い方をすれば、肌表面の皮膚が溶けるのです。マニキュアなんかの除光液にはアセトンという有機溶剤が入っていて、そいつにも脱脂、脱水作用があるので注意を喚起しておきます。
なによりの問題は石油エーテルの引火点が低いところにあります。ガソリンのようにやたらめったら低くはありませんが、30℃前後だったと思います。(ガソリンは-40℃ぐらい)
だから怖い。
爆発したらどうしよう…。
今日はそれだけ。
よくよく勉強すると、身近に危険なものはあるんだなぁという話でした。